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日本版LNDも気に入りました


by yukituri

たまには音楽劇もいいな < 「組曲虐殺」

10/22 13:30 天王洲銀河劇場 1階I列サブセン

井上芳雄 (小林多喜二)、石原さとみ (多喜二の恋人)
山本龍一 (特高刑事)、山崎一 (同、その部下)
神野みすず (多喜二の妻、活動家)、高畑淳子 (多喜二の姉)  
小曽根真 (ピアノ)

評判がいいので、急遽行ってみました。たった6人の出演者で、あれだけ密度の濃い良質の舞台、偉いです。ピアノの生演奏も良かったな~
何やかんやで年1回くらい見てる音楽劇、たまにはこういうのも新鮮♪

芸達者な人の中に混じった井上くん、ちょっと異質でしたが、演技でもがんばっていました。歌は井上くんが上、演技は他のこまつ座の人たち (全員かは知りませんが) が上、で、ある意味、釣り合っているんでしょう。
ま、井上くんにはもう少し演技の幅というか、引き出しを増やしてほしいとは思いましたが。

昨今の格差社会で話題のプロレタリア文学 「蟹工船」 の作者で、拷問死させられた小林多喜二の物語。重い話でしょうに、そこは井上ひさしですから、笑いありホロリあり。逮捕とか拷問とか凄惨なシーンは出てこないのもよかったです。敵役の特高刑事にもそれぞれ不幸な生い立ちがあったり、どこか憎めない人柄だったり。ほんの7、80年前くらいの日本に、こんな貧しく言論圧殺の時代があったのかと、学校ではなかなか実感を持って習わない私たちの歴史を再認識する意味でも、有意義な作品じゃないかと。

歌は本格ミュージカルに比べれば単純で楽そうなものが多かったですが (やっぱりミュージカルの方が好き)、1曲だけ井上くんのソロに割と聞き応えのあるのがありました。あと、みんなで歌う胸の中のエイシャキの歌も
耳に残りましたね。(一瞬なんだ? と思ったら、ああ、映写機か!)

こないだ見てきたばかりだし、同じ井上くんでもあるし、で。当局に追われアジトを転々としながら検閲で伏字だらけになってしまう小説やアジビラを書き続けた小林多喜二と、皇太子でありながら 「ユリウス・フェリックス」 の変名で体制批判記事を新聞に発表し、父皇帝と政治的に対立して監視され、ついには自殺に追い込まれた? ルドルフが重なって見えました。
by yukituri | 2009-10-22 19:48 | 国内観劇 (その他)