日本版LNDも気に入りました


by yukituri

だんだん素直に信じられなく(汗) < 光子の物語

興味を持つと乱読派な私、図書館から借りた光子の関連本を2冊、遠征に持って行き読んでました。

クーデンホーフ光子伝 昭和46年(1971)? 木村毅
光子と7人の子供たち 2001 シュミット村木眞寿美

前者は、戦前からパン・ヨーロッパや光子に関心を持ち、その功績を日本に紹介し続けた学者の本。リヒャルトとも直接面識があり、青山家の親戚知人の証言も集めている。光子の最初の体系的な伝記? 40年前の著作だけに、文体が古めかしかったり、後から否定された話も含むけれど、「始まりの本」 として、リヒャルトの同時代人の記録として興味深い。

後者は、第1次大戦中に書かれた光子の手記を翻訳した人の書いた本。光子以外にも国際結婚してヨーロッパに渡った明治の女性を研究している。子供たち全員の行く末が一通り分かるほか、第2次大戦後、ボヘミアに800年も住み着いていたドイツ人住民が着の身着のまま追放され(光子の子供の3人を含む) うち1割が死んだ (「西にずらされた」 ポーランドでも多分似たことが) という、あまり語られない暗黒の歴史が勉強になる。

…困りました。読めば読むほど、Mitsuko の物語が素直に鑑賞できなくなるんですが(^_^;A これまで読んだ話をいろいろ総合すると、

* 落馬事件はフィクションくさい。
* 「おミツちゃん」 はハインリヒに自分から恋をしたのではなく、むしろ父親の命令で結婚したのでは (金銭がらみ) ロマンチックなラブシーンはあの時代にはありそうになく、現代人の想像。
* 渡欧後、実家に多額の送金をしていたという親戚の証言あり。
* 光子の父は二人が夫婦であると認める証文を書き、仰山な嫁入り道具も持たせている。勘当したというのは世間向けの格好付け?
* ドイツ語は日本にいるうちから勉強を始めていた。
* 親戚の陰湿な苛めは証拠がない。光子の回想によれば協力的な人も多い。それぞれ財産を持っていて、ハインリヒの遺産が目当てで裁判を起こしたのではない。
* ハインリヒはコスモポリタンだったけど、強権的な面もあり、光子の大人しく従順なところを好いていた。
* 光子の弾く日本の楽器が聞きたくなくて子供たちは逃げ回っていた。
* 光子は社交界に出入りはしていたが、花形というほどではない。
* 晩年は日本人としか付き合わず、軍国主義的な考えを持っていた。
* リヒャルトがナチスからの逃亡の途中、メードリングに立ち寄ったとは思えない (方向全く違うし) 彼本人の話には少なくとも出てこない。
* 子供たちの何人かはチェコから追放されたためドイツで貧しく死んだ。
* パン・ヨーロッパ運動は続いたものの、戦後は現実的な影響力はなくなり、現在のEUではほぼ忘れられている。

などなど。

日本語だとすぐいろいろ読めちゃうのがいかんかな。まあね、現実の話ですから、そうそう都合よくハッピーエンドのまま終わったり、ドラマチックに盛り上がったり、物語に不都合な欠点のない人だったりするわけない。大体
"Rudolf" の史実との差は気にしないことにした私ですから、"Mitsuko" もそうするべきですよね。史実のままじゃミュージカルにならないし(^_^;A 

おおお~と思ったのは、光子の手記の親戚の描写ににさらっと、「ターフェ伯爵夫人」 (あの首相様の義理の娘か何かかな?) とか、「エリザベート大公女 (ルドルフとシュテファニーの娘) の家庭教師をしていた人」 とか、「ボヘミア総督**おじさん」 とかが出てくること。ウィーン宮廷との縁も深い有力な一族だったみたいですね。あと、リヒャルトが何度もノーベル平和賞候補になっていたというのも今回知り、興味深かったです。
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by yukituri | 2010-03-20 23:36 | 普通の日記、PC・語学関係