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日本版LNDも気に入りました


by yukituri

スカピン、宝塚版・オーストリア版の違い

DVDで見ればいいかな~ と思ってたけど、安蘭さんの最大の代表作かと思うと、やっぱりCDも買っちゃいました、スカーレットピンパーネル。

で、chiharu さんのブログでの宝塚版とブロードウェイ版のスカピン比較に触発され、私も宝塚版とオーストリア版CD粗筋の違いをまとめてみたくなりました。ルイ・シャルルがいないだけじゃなく、他にもかなりいろいろあるので。前に、「スカピンでお勉強」 で少し出したけどネタバレ避けてたし。

ちなみに、オーストリア版は多分、BWの再演後バージョンに準拠。だから 「オーストリア版」 とする部分は、大体は 「/BW版」 でいいかも。というわけで、BW初演CDとは何曲か違います。例えば、結婚式の歌は、元は "You Are My Home" ではなく"Believe" だったんですね。"Vivez!" は披露宴? 今の流れの方がいいですね♪ BW再演版もあれば買うのに - "Only Love" が再演でなくなっているらしいのは、ちょっと残念ですけど。"Rudolf" で復活したとはいえ、英語圏の人は聞けてないわけですし。

どちらにせよ、宝塚と違ってルイ・シャルルがいない分、ストーリーの突っ込みどころや、フランス側のフシアナ度 (公安委員のくせして王太子の顔に気付かないの!? とか) はずいぶん少ないですが、最後はやっぱり…(笑) 
長くなるので "More" に入れておきますね。




* 幕開きが違う

宝塚版は、民衆による 「マダム・ギロチン」 → 変装したスカーレットピンパーネルの活躍 → 「ひとかけらの勇気」→ 「おとぎ話のように」 → ショーヴランがマルグリットを脅迫し、サン・シール侯爵の居所を聞き出す → ショーヴラン、ロベスピエール、盟友の正体を明かすことを拒んで死を選ぶ侯爵の 「マダム・ギロチン(その2)」 という構成。緩急があってうまい。

オーストリア版では、民衆の 「マダム・ギロチン」 がないのか、収録されていないだけなのかは不明で、CDは "Märchenbuch" = 「おとぎ話のように」 で始まる。マルグリットの引退公演ということは知られており、観客の抗議はなし。マルグリットは、「私もおとぎ話の王子様に会って、イギリスに行って結婚します。でも心はパリを決して離れられないでしょう」 と語る。


* ピンパーネル団の結成の経緯が違う

宝塚では開幕時から、パーシー/ デュハースト/ フォークス (+名無しの手下 +フランス貴族の協力者) で活動していて、結婚式の翌朝、友人5人を新たにスカウト (アルマンも押しかける) 「クリケットや乗馬で鍛えてあるだろう!」 というのは、をいをい大丈夫? な理由づけだが(笑)

オーストリア版では、結婚式の翌朝に初めて、親友6人と結成。宝塚よりも2人少ない (役作ってるな…笑)。マルグリットが ”売った” サン・シール侯爵も、協力者というより友人? その死が、「こんな残酷なことはもう見過ごせない!」 と決意するきっかけらしい。ショーヴランの偽手紙で披露宴中に彼女を試すところから "Das Gebet" (祈り) までの流れは同じ。


* 「あなたを見つめると」 のパーシーのリプライズが、宝塚版にはない。パーシーの苦悩が見えづらい一因かも。 → フィナーレ (ショー部分) で歌われるが、歌の一部は銀橋渡りのためカット? 


* 庭園での 「あなたこそ我が家」 の歌い手が違う。

宝塚版は、ピンパーネル団のメンバー8人+もれなく彼女で、”恋だらけの庭” という感じ(^_^;A 若手・中堅以上スターの活躍の場作りか。特に娘役さん、出番少ないもんなあ (その前のサロンでの正体当ての歌が令嬢だけなのもそうかも) ソロの男役に歌のうまい人がいないのが残念だが、最後の16人でのコーラスはきれい。

オーストリア版 (Du gibst mir Halt = あなたは私の支え?) は、マルグリットとアルマンのデュエット。「あなたは兄弟、そして最良の友達」 と、
弟への愛に溢れてるなぁ。夫の態度に傷ついてるからでもあるだろうけど。


* 2幕導入部が違う

宝塚版は、ストップモーションから1幕最後のモチーフが一節鳴って、舞踏会の続き。緊迫感と継続性があって好き。

オーストリア版は、いろんなモチーフが出て来る2幕版の序曲という感じ。


* マルグリットの告白とパーシーの反応が違う

オーストリア版では、舞踏会の後、マルグリットが、呼び出したピンパーネル (後ろにいて? 顔は見えない) に、「アルマンがつかまって、その命をかたにショーヴランに脅され、ピンパーネルの正体を探っていた」 などと、すべてを告白。パーシーは、彼女が罪のない犠牲者にすぎなかったと知り、歓喜して "Sie war immer da" (彼女はずっとそこにいた) と歌う。

宝塚版でも、王宮の控え室でマルグリットは上と大体同じことを告げるが、パーシーはそれだけでは喜ばず(笑) 割に冷静。2幕も終わり近くになって、マルグリットが 「ひとかけらの勇気」 を歌ったわけ (夫のメッセージだから… 他) をグラパンの姿で聞いて初めて、彼女が愛した人のままだと知って歓喜、「目の前のきみ」 を歌う。とはいえ、マルグリットの余計なせりふでショーヴランがピンパーネルの正体に気付いちゃう場面なのに、それでも喜んでいいのか(^_^;A と激しく突っ込みたくはなる。パーシーに戻って気持ちよく歌ってる時に誰かが戻って来たらどうすんだ、とも(笑)


* マルグリットの 「忘れましょう」 の位置が違う。

宝塚版は、1幕で舞踏会に出かける前。「あなたを愛したことは忘れよう、夫婦を演じるのも今宵限り」 という悲しい決心の歌。

オーストリア版では2幕後半で、題も "Du bleibst bei mir" (あなたは私のそばにいる) と逆。娼婦に化けて情報を集めようとして、あっさりショーヴランに捕まるマルグリットが (この辺の筋はずいぶん違う。ルイ・シャルルがいない分、アルマンがメインの救出対象で、位置づけも大きい) 牢獄でアルマンと一緒に処刑を待つ間、パーシーを思い切ろうとしてもできず? 「あなたが私のそばにいる、死ぬまでそばに」 と歌う。

…すみません、前、よく聞かないで、今そばにいるアルマンのことかと思い 「あなたが死ぬまでそばにいてくれるから、と自分を慰めてるところ?」 とかオオボケな推測を書いてました(^_^;A 聞き直したら上のような流れ。英語の題の (歌はまだ聴いたことがない) "I'll Forget You" からいっても、パーシーの方が自然ですね(爆)


* ミクロンでの対決が大違い

宝塚版では、パーシーは自らグラパンの扮装を取って正体を現し、決闘でショーヴランに勝つ。そこへ兵士たちが掛け付け、パーシーは降参するが、実は兵士たちはピンパーネル団が摩り替わっていたのだ。パーシーはショーヴランを拘束、グラパンの格好をさせて、地元公安委員に引き渡す。

オーストリア版では、グラパンの格好をしたパーシーは、スカーレットピンパーネルの指輪をしていくという致命的失敗のため、ショーヴランに見破られる (ばかだ~ とはいえ、宝塚版でも多分してるのに気付かれてない。原型のショーヴランの方が鋭いぞ… 笑) 決闘もショーヴランの勝ち (宝塚でも実はパーシーより強そうだったが ^^;) ショーヴランは勝ち誇り、パーシーをギロチンにかける。だが実は、兵士や処刑人は変装したパーシーの仲間だった。落ちたと思われたパーシーの首も、実はマリーが名人芸で作った蝋人形 - 彼女は結婚し ”タッソー” という姓になっていた。

…をいをい、全員仲間なら、そこまでやらなくても(爆) 蝋人形のオチには笑うしかなかった。ショーちゃんフシアナすぎ! こちらのマリーはアルマンの恋人じゃないのか? 後にロンドン名物、蝋人形館を開くのか(^_^;?

追記: Wikipedia で見たら、まさに 「マリー・グロショルツ」 さんは、後の 「マダム・タッソー」 なんですねぇ。小技が効いてるな(笑) 
アルマンの恋人という設定まで日本版の潤色だったとわ! びっくり~


* デイドリーム号での最後の歌が違う

宝塚版は、「あなたこそ我が家」、もう一度結婚式だ! にぴったりで好き。

オーストリア版は、"Wenn ich dich anseh" (あなたを見つめると) の幸せバージョン。これはこれで悪くないけど。
by yukituri | 2008-10-17 23:42 | TheScarlet Pimpernel