ジキルを殺したのは? < セゲドのジキハイ、覚え書き
2012年 07月 08日
セゲド大聖堂前の広場に作られた舞台。ハンガリーで一番の野外劇場らしい?
左右の電光掲示板に英語が出るが、ハンガリー語歌詞の訳ではなく英語版をそのまま流していると思う。せりふ部分は個別には訳されず、「ジキルは理事を説得しようとする」とかのト書き方式。
Lost in the Darkness: ハンガリー語は「永遠の夜」だとか。
Facade: 上流が真ん中、下流が両サイド、またはその逆と分かれるフォーメーション。
Board of Goveners/ I Need to Know: 半円型の壁の2階部分から見下している理事たち。ジキルが一通り訴えかけた後 (一番目は中断・再開のすぐ後) 「否!」 の直前に I Need to Know が入ってびっくりした。聞けて嬉しいが、ちょっと間延びするかも。理事会がおとなしく聞いているのも不思議だし。すぐ全面拒否される方がテンポいいと思う。ハンガリーお得意の円形の斜路を上り下りするので、1日目は濡れてるだろうに滑らないか心配になった。
I Must Go On: エマに指輪をプレゼントしてるらしいジキル
Letting Go: 「キスしている二人にショックを受けるダンヴァース卿」 という字幕が入るが、ドイツ・ホーフ版のに比べれば可愛いものだと思うw 3方のガラス壁に投影。ここで木立のシルエットが映るのは上品。花火はもう少し控えめでもいいのでは。
Now There's No Reason: ジキルの居間、丸い壁の内側に、馬蹄型の赤いスロープ。上の父親の肖像。
This is the Moment: 丸壁が閉じて開くと実験室になっている
First Transformation: エドワード・ハイドと書き、読み上げる
Girls of the Night: ハイドとルーシーの出会いでこの曲。うまい使い方だ。公園で客引きをさせられている娼婦たち。最後は大人数のコーラスがきれい。日本版にも入れてほしいくらい。最後に客たちがそれぞれ付くと、ハイドがルーシーの肩に噛みつく?
Sympathy, Tenderness: 診察に来たルーシーとの会話でなぜか笑いが入る。酒も出すし、深刻な雰囲気ではない。
Murder, Murder: 殺人に場面に息を呑んでいる群衆は誰もハイドを見ない、止めない。ビーコンズフィールドは注射で殺される
Once Upon A Dream: 実験室に来たエマはばっちり「エドワード・ハイド」という記述を読んでしまうが、ジキルに詰問されても悪びれず、指輪を突き返す。強い。
Obsession: 左腕が血で汚れているのはなぜかな。上着は大丈夫だったのに。実験台を取り囲む斜路は、1幕で馬蹄型だったのが2幕は口が閉じた円になっている。ジキルの閉塞を表しているようで興味深い。
In His Eyes: 両側のベンチに一人ずつ座っている状態でスタート。
No One Knows Who I Am: 空き地で火に当たっている人々。最後にルーシーが手をさしのべるとそこにはハイド。厚いコートで火に当たっているから、額は汗だらけ。真夏に冬のシーン、大変だ。
Dangerous Game: 「ハイドはしばらくどこかへ行くことを告げるが、彼から離れないよう警告する」というト書き。去ろうとする彼のマントの裾と脚にしがみつくルーシー。他のバージョンと逆のような。
A New Life: ジョンに渡した手紙が上下逆で笑いが入る。
Lucy's Death: ジキルに戻ってはっとするところはなし
Confrontation: ジキル/ハイドを囲む二重の円が角度を変えながら回転。土星の輪のようでおもしろいが、顔が時々見えないのは残念
Facade Reprise 4: ルーシーの死体が無造作に肩に担いで運ばれて行く後を、金勘定をしながら歩いていくスパイダー。新たな出発を願って渡したジキルの金がこいつに渡ったかと思うと…
Finale: 幸せそうなうちから平衡感覚が怪しいらしいジキル。突然苦しみ出すと、ジョンはジキルがまだハイドになりきらない辺りから用心深く銃を構える。ああそっち方式?と思ったら、最後の一瞬にその手から銃を奪って撃ったのは白いドレスの人影。エマ!? ジキル/ハイド(声が何度か変わる)はそのまま一人で倒れて死に、エマの腕の中ではない。エマはその後、死体に近付くが、「あなたは自由、もう終わったの、私がずっと一緒だから」と(原詩では)言うのが生々しすぎる。独占欲か、慈悲の殺しか? これじゃエマも死刑?とか想像すると泣ける。一種の心中かも。沈痛な顔の列席者がエマを取り囲んで終演。